クラシックカメラ カメラのナニワ 京都店

メオプタって知ってます??【身の程知らずの恋ってやつですかね】

年間の一人当たりビール消費量の1位はドイツ……と思われがちですが実はチェコが不動の1位を誇ります。(ちなみに日本は56位。2024年のデータです)

そんなチェコにも実はカメラメーカーは存在するわけです。

それがメオプタ(Meopta)社です。今回はメオプタ社のカメラが入荷したので色々紹介していきます……が、


個人的にメオプタ社に思い入れやら憧憬やらいろんな感情を抱いているのでまずは長めの語りから入ります。

読み飛ばしてください。


【メオプタの思い出】

メオプタ社は1933年オプティコテクナ(Optikotechna)という名前で創業、第二次世界大戦後の1946年に国営化。その際にいくつかの関連企業が合併されメオプタ(Meopta)と改名された企業です。

今はもうカメラは製造していませんが、ライフル用のスコープやフィールドスコープなどの光学製品を製造しているそう。

日本ではマイナーと言っていい存在ですが、二眼レフのフレクサレットは辛うじて知名度を持っているかな?という立ち位置です。

そんな私がメオプタを知ったのは遡ることxx年前。バイト代全てをカメラに費やしていた学生の頃でした。

当時の私はライカに手を出す懐など持ち合わせておらず、とは言え人と同じものは使いたくないといった捻くれ様。

フォカ・ガンマ・ペリフレックス……と各国のレンジファインダー的なカメラを色々調べていく中で見つけたのがこのメオプタ社。

その中でもレンズ交換式のオペマ Ⅱ(Opema Ⅱ)に魅了されました。



今回の買取で一緒にやってきてくれたもののシャッターが動かないOpema Ⅱ

ライカのL39とは全く互換性を持たない38mm径の独自マウント、豊富とは言えないながらも広角から望遠までのレンズラインナップ、そしてニコン I型と同じ32×24mmという横が短いフォーマット(ニコンの方はニホン判と呼ばれますがこの場合なんて言うんでしょうね)

個性満載のこのカメラにかつての私は夢中になりました。

これからはメイン機材を聞かれたら自信満々に「オペマです!」と答える男になろうと。

ちなみにオペマにはⅠとⅡがありますが、実はⅠの方が後から出ました。先にレンジファインダー付きのⅡが、遅れてレンジファインダーを廃したⅠが出たそうです。

ホラー映画の大家、ダリオ・アルジェント監督の「サスペリア」の日本公開の後、過去作の「Profondo Rosso」が本邦公開となった際に、興行的な事情で邦題が「サスペリアPART2」になってしまったみたいな話ですね。

映画の邦題あるあるです。

しかし、いざ探してみるもオペマなんてカメラは国内では全然見当たらないわけです。
そこで当時の私はチェコへ飛びました。

幻のカメラを求めて、そしてビール消費量で少しでもチェコ人に対抗できるようにするため。(冒頭の伏線回収です)

日本でいっぱいビールを飲むよりも一位のチェコで飲むことでチェコ人の消費量を奪いつつ、我が国の順位向上に貢献できるわけです。

そうして訪れたチェコの首都プラハで、あちこちのカメラ屋を覗き、首を振られ、ビール消費量の向上に努め、カメラ屋を覗き、ビール消費量の向上に努め、ビール消費量の向上に努め……。

プラハ中のカメラ店や蚤の市を探し回った果てに、何とか一台の状態の悪くないオペマ Ⅱを見つけました。



買ったときのカメラ屋さんの袋まで取ってありました
大口径のOpenar 45mm F2とBelar 45mm F3.5をセットで入手して、大喜びで帰国したわけですが、しばらく使っているとシャッターがシンクロ同調速度ぐらいでしか切れなくなり……。

一度は修理に出して使ってみたものの、今度は内部の破損で巻上げが出来なくなり……。

しばらくは棚に飾っていましたが、だんだん見るのが辛くなってしまって手放してしまいました。

そんなこともあってか、メオプタと聞くとかつての熱中と苦い思い出がよみがえってきて、思わず細い目で斜め上45°ぐらいを眺めてしまいます。

【メオプタのカメラ2台が来た】

はい、というわけでここから本題です。

そんなメオプタに思い入れのある私の元に買取で持ち込まれて来てくれたのが、同社のオプティネタ(Optineta)エタレタ(Etareta)の2台です。

うちに来てくれてありがとう。

折角なので紹介と試写をさせてもらえればと思います。

ちなみに、本記事でのスペックなど技術的な点の記述は、オペマを買ったときに一緒に手に入れていた"CZECH CAMERAS"と言う小冊子を出典としています。

メオプタ社の社史や各製品の開発経緯について詳細に書かれていて、恐らく世界で一番メオプタ社に詳しい本。


Jan Trunec and Vaclav Vait ,The "Czech Cameras Meopta Cameras for 16mm and 32mm cine-film",Jakoube Publishing House,2009.
オプティネタ(Optineta) エタレタ(Etareta)
レンズ Belar 45mm F3.5 Etar Ⅲ 5cm F3.5
絞り 3.5-22 3.5-16
撮影距離 1m-∞ 0.75m-∞
シャッター速度 B,1,2,5,10,25,50,100,200,400 B,T,10,25,50,100,200
サイズ(実寸) 約H88mm W146mm D70mm 約H76mm W122mm D60mm

 

○Optineta


1959年発売。レンズはBelar 45mm F3.5がついています。4枚構成。

レンズ交換式のオペマに同名のレンズがありますが、光学系が同一かは不明です。



フォーカスは目測ですがファインダーはそこそこ大きくてクリアです。

シャッターがMETAXという銘の独自シャッターです。

これは国営企業のクロノテクナ(Chronotechna)と言う時計を製造していた企業のBroumov工場が製造を担当しており、後にメオプタグループ傘下に入ったようです。

時計メーカーがシャッターを製造するのはどこの国も同じですね。

サイズ感は35mmカメラにしては大きめに感じます。パッと見中判に見えない事も無い。

前掲書によると、オプティネタの以前にレンジファインダー付きのオプティナ(Optina)とオペマタ(Opemata)と言う機種が試作されており、この時のデザインを踏襲したためにレンズ固定の目測ピント機の割に大型なのかもしれません。


フィルムの手前がなぜか遮られる構造になっており、フィルムには右上と左下が欠けて写るようになっています。なぜでしょうね。

〇Etareta


エタレタはメオプタのカメラと紹介しておきながら、実は同じくチェコにあったETA社の製造。

元々ETA社が開発・製造していましたが、後にメオプタグループに合併。

その後Druopta社に移籍したそうなので、エタレタには都合三つのタイプがあるのかもしれません。(外観で判断できるか分かりませんが……)

メオプタが高級品・軍事品を担当する一方で、Druoptaは大衆向け製品を担当したようです。

レンズはEtar Ⅲ 5cm F3.5。


構成に関しては記載が見つからず謎ですがトリプレットかテッサー型でしょうか?
沈胴式で引き出してから左回りに少し回すとロックされます。



シャッターはETAXAと言う銘でこれまた自社製。

ファインダーの接眼部はかなり小さく「こんなので本当に見えるのぉー?」と心配になりますが、そこは心配通り、全然見えないです。

メガネを外して裸眼でギリギリまで押し付ければ何とかという感じ。


巻上げ・巻戻しが独特で、巻上げ時は一コマごとにカウンターの右側のロックボタンを押しながら回す必要があり、枚数が進んでいくとかなり重くなります。

巻上げと同時に巻戻しノブも少し回してあげると若干ましには感じます。

巻戻し時は同じロックボタンを押しながら、巻上げノブを少し上に引上げてから巻取る必要がありますがこれまた指が無くなるかと思うほど激重。

今回はフィルムごとに暗箱の中で開けました。


オプティネタに比べると一回りほど小さい印象。

シャッターチャージが巻上げと連動しなかったりと色々不便ですが、手のひらに伝わるごとっとした重さが好印象。

エッジの利いたアルミの質感が高級オーディオみたいでときめきます。

【作例】

〇Optineta

FUJICOLOR 200
京都店の作例と言ったらまずは鴨川からスタートです。最近の雨で水量多め。

目立たないようにトリミングしてますが右上がちょっと黒いのは内部構造でけられてしまっている部分です。

ハイライトが若干柔らかくてアンバー寄りになりやすい気がします。

しっとりした描写で雨の日の湿気が良く写っています。




目測のピント合わせは、慣れてしまえば1mとかは合わせやすいんですが、安全第一までの10mぐらいを当てられると嬉しいです
Fomapan 100
折角なので本体に合わせてフィルムもチェコのFomapanを使ってみました。

レンズが設計された時代的にもカラーより白黒が得意なレンズだと思います。カラーの作例で感じた淡くて柔らかい雰囲気とは一転してシャープな描写。




壁の漆喰の解像感も中々のもの。

〇Etareta

OPTI COLOUR 200


エタレタのEtar Ⅲ 5cm/3.5は見た目から恐らくノンコートではないかと思いますが、その割にスッキリした色合い。

よくよく見るとそこまで解像してないのですが、引きで見ると解像してる感があって悪くないです。

奥行きの無い被写体を選ぶと周辺は流れてしまっています。
このカットは確か開放のF3.5。

この辺りで一本目を撮り終えて交換しようとしましたが、巻上げのあまりの重さに苦戦してうっかり蓋が開いてしまいました。

日本のカメラを使っていると気付きませんが、ベアリングとかそういう基礎的な工業力って大事なんだなと感じます。

Fomapan 100




エタレタも白黒に詰め替えて2本目に入ります。

作例のコントラストは調整してますが、オプティネタのBelarに比べるとシャドウが締まりやすい印象です。

目測撮影の豆知識ですが、日本の道路はだいたい1車線が3mぐらい。

2車線で6mで歩道の分を入れたら~という計算で、道路の向かい側を撮りたいときのピント位置がつかめます。


 


最後にまた鴨川に戻ってきました。

特定外来生物のヌートリアが草をむしゃむしゃしてました。


【まとめ】

最後に少しだけプラハでオペマを買った時のことを書かせてください。

目的のものを手に入れ意気揚々と店を出ようとした私ですが、入口付近の書籍コーナーで呼び止められます。

振り返ると初老の店員さんが言います。
※お互いに英語は第二言語なので完全には伝わってないと思います。

「チェコの事は知ってくれたかい」
もうオペマを買ったことを自慢げに伝えると、
「違う違う、日本から来る人達はカメラを買って行くばかりで、チェコの写真家たちの事は知ってくれないんだ。良かったらオススメの写真集を紹介させてくれ

自分以外にも日本のカメラオタクがプラハまで来ていることも衝撃ですが、これは本当にカメラオタクのダメなところだなと思って、旅行鞄の許す限りの写真集を買って帰りました。

コロナ前の話なので状況も変わっていると思いますが、写真集がいっぱいあって、長巻のフィルムも売っていて良いお店だったなと思います。

私も大学を出てからずっとカメラ販売の仕事をしていますが、情熱的に写真集を薦めてくれたあのプラハのおじさんは業界の尊敬する先輩の一人です。

あのおじさんは元気にしているでしょうか……?

相変わらず年間一人当たりビール消費量ランキングも大差で負けてることですし、
またチェコに行きたいですね。

最後にプラハで撮った写真も載せておきます。

Agfa Optima 1035 Sensor, Provia 400X

Olympus OM-2n,E.Zuiko Auto-T 100/2.8,Fomapan 100 有名なカレル橋の横ぐらいの橋です

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