こんにちは~。編集長 中村です。
そろそろ2025年も終わりということで今年書いた自分のブログを読み返してみたのですが、1本たりとも変態機材の話をしていない……。
2025年もいろいろ新製品が出たり、弊社主催でイベントをやったりしたのでそちらの紹介や宣伝に注力していましたが……。
そもそもナニワグループのブログと言ったら「何なのこの機材……!?」みたいな変なものを紹介したりしているのが強みだったはず!!
というわけで、今回は久々に私物の変なレンズを、実写作例つきでご紹介していきたいと思います。
【MS-OPTICS HIPOLION 8/19】
宮崎光学(MS-OPTICS)さんが2020年12月に製造・販売したレンズですが、今ではもう新規販売していないようですね。
マウントはライカ Mマウントです。上の写真では、マウントアダプターを付けてSONY ZV-E1に装着しています。
真鍮の金色が最高にCoolですね~。だいぶくすんできてしまいましたが、これもまた味ということで。
発売当初は真鍮ゴールド以外にブラックとシルバーもラインナップされていました。
なお、こちらのレンズは1900年に発明されたハイペルゴン(Hypergon)をオマージュした光学構成となっています。
宮崎光学さんの商品ページに手書きの構成図が載っているのですが、2枚のレンズを対称に配置した極めてシンプルな構成になっていますね。
では、さっそく作例とともに肝心の写りも見ていきましょう!
【実写作例① 御堂筋スナップ】
先週末にXのフォロワーさんたちと淀屋橋集合でフォトウォークに行ってきた時に、このレンズでいろいろ撮ってみました。
ここからの作例もすべてSONY ZV-E1にマウントアダプター経由で装着して撮影しています。JPG撮って出し、未編集で掲載。
さて、まずそもそもイメージサークルが足りてない。
画像の四隅に大きな「ケラレ」が発生してしまっているのが一目で分かるかと思います。この時点で許せるか許せないか大きく分かれそう。
こちらのHIPOLION 8/19は焦点距離19mmの超広角レンズですが、歪曲収差は驚くほど綺麗に補正されています。
かすかに樽型の歪曲収差が残っていますが、このサイズ感のレンズでここまでしっかり抑えられているのはお見事です。
真正面から直線の被写体を撮らない限り、歪曲収差はほぼ分からないレベルかと。
昨今のミラーレスカメラ用交換レンズは、歪曲収差による画像の歪みをデジタルで補正するアプローチが主流となりつつありますが……。
やはり光学的にしっかり歪曲収差が補正されているレンズは気持ちがいいですね~。
画像中心部は驚くほどシャープで切れ味の良い写りなのですが、周辺部は像の流れがやや目立ちます。
発色・コントラストはなかなか良いんじゃないでしょうか?
強い光源が入ると綺麗な光条が出ますが、逆光時は放射状のゴーストが出やすいのでちょっと苦労するかもしれません。
超広角で絞って使っているので、フォーカス合わせをする必要がないのが楽ですね~。
いちおう距離計も連動するらしいのですが、ライカに付けて使うときも基本的にフォーカスフリーで使ってます。
かなり寄ってヘリコイド付きアダプターでも撮影してみましたが、中心部分のシャープさは本当にすごい……。
クセは非常に強いですがそこが楽しい!!
天神橋から中之島方面を望む。
ちょっとアンダー気味に撮りましたが、空の青色に深みがあってなかなか味があります。
水面の反射も質感描写が繊細でいいですね。
ここらへんで撮った写真に分かりやすいのが1枚ありましたが、逆光時のゴーストはかなり強烈です。
人によっては表現として活かせる方もいらっしゃるかもしれませんが、わたしは難しいので頑張ってハレ切りしてます。
【実写作例② 中之島公園周辺】
さて、天神橋筋商店街の入り口付近で休憩をはさみ、夕焼けを見ながら淀屋橋方面に帰還を目指します。
焦点距離19mmはやっぱり広いな~。
夕焼けを受けて輝く中之島のビル群が一層遠く感じられます。
天神橋の橋げた。パースを活かして奥行きのある見え方になるよう撮ってみました。
広角レンズはいろいろな表現ができるのでやっぱり楽しいですね!
暗くなってきたのでF16まで絞って撮るのが厳しくなってまいりました。
絞り込んでいるので、センサーゴミの写りこみも目立ちがち。あえて消さないでそのままの写真を載せてます。
中之島バラ園に到着! 意外とまだ咲いてましたが、19mmで花を撮るの難しすぎる!!
だいぶ暗くなってきたのでほとんど撮らずに通り過ぎます。
【実写作例③ 大阪市中央公会堂エリア】
中之島のランドマークでもある大阪市中央公会堂まで辿り着きました。スタート地点の淀屋橋までもうちょっと……!
こういう建築物を撮る時は19mmの超広角が威力を発揮します。
手振れ補正付きのボディなので1/5秒でシャッター切っても手ブレほぼ目立ちません。
スローシャッター表現とあわせたらなんか面白い写真撮れるかもしれませんね。
さて、このあたりでHIPOLIONのオモシロ機能を試してみることにしましょう。
このHIPOLIONは開放F8ということでスペック表記されていますが、絞りをさらに開けてF2.8~F6.6で撮影するとソフトフォーカスレンズとして使うことができるのです!
上の写真はF4で撮影しましたが、まるで夢の中のような幻想的な写りが楽しめます。
ちなみにF2.8まで絞りを開けると、シーンを問わず画面中央に盛大なフレアが発生してしまうので実用は厳しいです。
F4~F6.6ぐらいで試してみて、自分好みのソフト感を探るのがいいかと。
という感じで遊んでいたら淀屋橋まで戻ってこられました。
ほぼHIPOLION 1本のみで1日撮り歩いてきましたが、改めてクセの強さに感心しました……!
【まとめ】
一方で、F16まで絞り込んでも周辺部画質は甘さが残る、なかなかクセのある描写です。
また、わたしが所持している個体はイメージサークルが足りておらず、フルサイズで使うとケラレが発生します……。
なかなか使いどころが難しい機能ではありますが、超広角ソフトフォーカスレンズという存在自体が珍しいのでどこかでうまく使いたいですね!
そのため、デジタルカメラに装着して撮影すると、場合によっては画像周辺部にマゼンタの色被りが発生する場合があります(上の写真は過去にM Type262に装着して撮影したもの)
はるか昔にこの現象を紹介したブログもありますので、気になる方はご一読いただければと。
このHIPOLIONのみならず、レンジファインダー用広角レンズは後玉が出ていてバックフォーカスが長く、同様の現象が起こりやすいのでご注意いただければと。
という感じで、ひさびさに情報量多めの機材紹介でした。こういうちょっと変わったレンズをもっと紹介していきたいんだわたしは……!
今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました。
評判良かったらまたなんか書きます。また次回のブログでお会いしましょう~!!