Canon EOS R5 Mark II 使用レビュー【今から買っても損しない一台】

こんにちは~。編集長 中村です。

今回まず、各方面に対してのお詫びの言葉から始めさせていただきます。

誠に申し訳ございません……!

わたくしがなぜ謝罪から今回のブログをはじめさせていただいたのかと言いますと、今回はこちらのCanon EOS R5 Mark IIの製品レビューとなっているからです。

上記のポスト、投稿日は2024年11月26日となっていますので、このEOS R5 Mark IIのレビューは約1年塩漬けになっていたわけです……!!

機材お貸出しいただいたキヤノンマーケティングジャパン様や撮影協力いただいた方々には、ただただ「誠に申し訳ございません」しか言えないのですが……。

一方で、こちらのEOS R5 Mark IIは1年越しにでも製品レビューを公開するだけの価値がある素晴らしい製品であることは間違いありません。

むしろ高機能・多機能すぎてその魅力をすべて紹介しきるのが難しいのですが、恥を忍んで製品レビューを皆さんにお伝えしていきたいと思います!

【まずは簡単にスペック解説】

それでは、まずは大まかなスペック解説から始めていきましょう。

こちらのEOS R5 Mark IIは、2024年8月30日に発売されたカメラ。初代EOS R5が2020年発売ですので、実に4年ぶりのモデルチェンジとなりました。

有効画素数は据え置きで約4500万画素ですが、なんとセンサーが新開発の裏面照射積層型CMOSセンサーとなりました!!

読み出しの早い積層型センサーを搭載したことにより、前モデルと比べて電子シャッター撮影時のローリングシャッター歪みが40%も軽減されたとのこと。

また、連写性能もアップしており、電子シャッターであれば約30コマ/秒でRAW/JPEG同時記録の撮影が可能となっています!!

画像引用:Canon EOS R5 Mark II製品ページより

映像エンジンはEOS R5から変更なくDIGIC Xとなっていますが、今回新たにDIGIC Acceleratorという映像エンジンを追加で搭載しています。

DIGIC XとDIGIC Acceleratorが組み合わさったエンジンシステム「Accelerated Capture」は、もともと1つの映像エンジンですべての処理をまかなっていたものを2つのエンジンで分担しています。

これによってAF速度精度の向上はもちろん、電子シャッター時のブラックアウトフリー撮影を可能とするなど大幅なスペック向上に寄与しました……!

【ディープラーニング技術による新機能搭載!】

さて、前述のDIGIC Acceleratorを搭載することで、EOS R5 Mark IIは新たに強力な機能が2つ備わることとなりました。

カメラ内アップスケーリングニューラルネットワークノイズ低減です!

Adobe PhotoshopやLightroomなどの画像編集ソフトで使用できる「スーパー解像度」「ノイズ除去」などはすでに一般的かと思いますが……。

このEOS R5 Mark IIは、PCやスマートフォンなど外部機器を用いずボディ内のみで画像のアップスケーリング・ノイズ除去が可能となりました

例えば上の画像はEOS R5 Mark IIで通常通り撮影した8192×5464ピクセルの画像です(WEB掲載用にリサイズしていますが)

この画像にカメラ内アップスケーリングをかけると……。
縦横それぞれどちらも2倍の16384×10928ピクセル、約1億7900万画素の画像となりました!(画像が大きすぎるので画面キャプチャを掲載。左下に注目)

前モデルのEOS R5では9枚の画像を合成して約4億画素の超高解像画像を生成できるIBISハイレゾという機能がありましたが……。

今回のカメラ内アップスケーリングは、1枚のJPEG画像だけで大きいサイズの画像を生成できるという非常にシンプルかつ強力な機能です。

↑元画像

↑アップスケーリング後

試しに、1枚の画像にボディ内アップスケーリングをかけてみて、元画像と処理後の画像それぞれ両方写っている範囲がだいたい同じになるよう両方トリミングしてみました。

極端にトリミングしたため元画像が約46万画素しかないのに対し、アップスケーリング後の画像は約180万画素です(画像タップ or クリックで画像大きく見られます)

アップスケーリングによって解像感が増しているわけではありませんが、きっちりピクセル数は増えています。

「高解像・高画質化のためにアップスケーリングをかける」というよりは、トリミングして画像サイズが小さくなっても破綻しないようにする機能なのかなと感じますね。

とはいえ、わたくしも編集者の端くれですので「掲載用画像のピクセル数が少なすぎる!」というトラブルには何度も経験があります……。

JPEG画像1枚からアップスケールできるというハードルの低さもあいまって、この機能で救われるクライアントは絶対どこかにいるはずだと確信しますね……!

一方でニューラルネットワークノイズ低減のほうはRAWデータにしか適用できないのですが、ノイズ軽減処理をしたJPEG画像にアップスケーリング適用ももちろん可能

編集用のPCなどが無くとも、カメラボディだけあればポスト処理が完結してしまうのは実に驚くべきことですね……!!

【AFアルゴリズムも進化! AF性能がすごい!!】

新エンジンシステム・Accelerated Captureによって、もちろん肝心のAF性能もパワーアップしています!

まず検出可能な被写体が以下のように大幅に増えました(赤字がEOS R5には無かった新規で検出可能になった被写体)

・人物(瞳/顔/頭部/胴体/上半身
・動物(犬/猫/鳥/
・乗り物(モータースポーツ/鉄道/飛行機)

初動でのAFの「つかみ」も非常に強力になっており、狙った通りの被写体にスッと食いついてピントが合ってくれるのに驚きました。

野鳥のように動きの予想がしづらい被写体でもカメラ任せでばっちりと捕捉してくれるので、実に素晴らしいAF性能です。

飛行機・鉄道などさまざまな被写体を撮影してみましたが、初動のつかみからトラッキングまで終始優秀でした。

また、サッカー/バスケットボール/バレーボールの3競技で特定の動作(シュートやパスなど)をしている人物をトラッキングするアクション優先という新機能も!

今回、こちらの機能を試すことはできませんでしたが、たくさんの人物が画面内に写り込むスポーツ撮影において非常に役立ちそうな機能ですね……!!

【格闘技大会 撮影させていただきました】

撮影協力:リンクステコンドーアカデミー

さて、今回こちらのEOS R5 Mark IIをお借りしたタイミングで、社内のとあるスタッフから「格闘技の大会を撮ってみませんか?」と打診がありました。

せっかくの機会ですの二つ返事で了承し、リンクステコンドーアカデミー様主催の「2024リンクステコンドーフェスティバル」を撮影させていただきました!

こちらも1年越しでの掲載になるので本当に申し訳ないお話ですが……。

撮影協力:リンクステコンドーアカデミー

こういった競技撮影は今回初めてのためドキドキしながら撮影に臨んだのですが……。

EOS R5 Mark IIの優秀なAFと最高30コマ/秒の高速連写によって、何一つ不自由なく撮影することができました!

撮影協力:リンクステコンドーアカデミー

大会スケジュールのなかで選手が演武を披露する場面があったのですが、EOS R5 Mark IIから新しく入ったプリ連続撮影機能がここで役に立ちました。

シャッターボタンを押したタイミングから最大15コマの遡り記録ができる機能で、あらかじめ半押しして構えておけば”決定的瞬間”を逃さず撮影することができます。

最近では各社ともに標準的に備わっている機能となっていますが、「この瞬間を絶対撮りたい!」という時には極めて頼もしい機能です!
撮影協力:リンクステコンドーアカデミー

2022年に発売されたEOS R6 Mark IIには、シャッターを押す約0.5秒前まで遡って記録できるプリ撮影機能というものが搭載されていました。

この機能は「RAWバーストモード」というRAW連写モードでしか使えなかったのですが、連写したRAWファイルが1つのファイルになって記録されるため、そのままでは視聴はおろかLightroomなどで編集することもできないという仕様でした……。

一方、今回のEOS R5 Mark IIではRAWバーストモードは廃止され、JPEG+RAW 同時記録でプリ連続撮影が使用可能となっています。

この仕様変更によって遡り記録機能が使いやすくなったのは非常にありがたい変更点です……!

撮影協力:リンクステコンドーアカデミー

なお、プリ連続撮影を使用する際はメカシャッターが使用できず、電子シャッターでの撮影のみになります。

しかし、EOS R5 Mark II は積層型センサーを搭載しているため、ローリングシャッター歪みはまったく目立ちません。

焦点距離の長いレンズで機材を大きく振りながら撮影したりする場合はまた話が違ってくるでしょうが……。

RF70-200mm F2.8 L IS USMで撮影するぶんにはまったく問題ありませんでしたので、ご安心ください。


【気になる4K SRAW動画をチェック】

さて、こちらのEOS R5 Mark IIですが、もちろん静止画性能だけでなく動画性能も超パワーアップしています。

センサーが積層型となったため、8K 60p4K 120pなど情報量の多い動画がノンクロップで記録できるのは凄まじい……!

8K 60pは軽量RAW形式の「SRAW」での記録のみ、4K 120pは音声同時記録ができないという縛りがありますが、それでも十分すごいスペックです。

なお、このEOS R5 Mark IIでは4KサイズのSRAWがノンクロップで記録できます。

RAW動画はポスト作業での自由度の高さがウリですが、ファイル容量が大きすぎて一般人には運用負荷があまりにも大きいというデメリットがありますが……。

なんと、EOS R5 Mark IIで撮れる4K SRAWは、フレームレート23.97だとビットレート 420MbpsとRAW動画とは思えない軽さ!

「これはめちゃ便利なのでは……!?」と思ったので、さすがにがっつり動画作例は作れませんでしたが個人的に気になったポイントを検証してみました。

上の写真は、SRAW 4K 23.97pでハイライトがクリップしない程度に明るめに撮影した素材を切り出したものです。

RAWパレットでガンマ・色空間をCanon Log3・Canon Cinema Gamutに設定し、DaVinci Wide Gamut・DaVinci Intermediateに一度カラースペース変換したものを再度カラースペース変換でRec.709に戻しています。

Davinchi Resolve のカラーページ画面はこんな感じです。

右下のスコープも見ていただけると、ハイライト・シャドウともにバランスよく画面内で再現されているのがお分かりいただけると思います。

では、同じ撮影状況下で絞りを開けて露出を1段明るくし、ハイライトがクリップしてしまった素材を撮ってみましたがどんな感じになるでしょうか?
結論から言うと、12bitのSRAWでも飛んでしまったハイライトは戻ってきませんでした

画面右側の明るい部分がのぺっとした感じになってしまい、諧調の乏しい写りになっているのが一目でお分かりいただけると思います。

ノード構成は同じで、明るさはRAWパレットで調整して最初の素材とだいたい同じに合わせています。

右下のスコープの波形を見ていただいても分かると思いますが、ハイライトのいちばん明るい部分がごっそり消し飛んでいますね

当たり前と言えば当たり前ですが、RAW動画素材(しかもビットレートが常識的なサイズで撮れる)なのでちょっと過剰な期待を寄せてしまいました。

いくらRAW動画であっても何もかもポストで調整できるわけではない、ということが確認できましたね。

「飛んでも良いから現場では雑に撮っておいて編集で何とかする」という使い方はできませんのでご注意を!

【どんな場面でも任せられる万能機!】

という感じでかいつまんでEOS R5 Mark IIを解説してまいりましたが、多機能・高性能で「とんでもねぇカメラだ……!」と率直に思います。

画素数・連写性能・AF性能・動画性能など全方位で隙が無く、どんな場面でも安心して任せられる頼もしいカメラであることは間違いないでしょう。
撮影協力:リンクステコンドーアカデミー

今回、格闘技の大会を撮影をさせていただける貴重な機会をいただきましたが、撮影経験の乏しいジャンルであっても十分対応できる頼もしい機材でした。

そこまで予想外の動きが出てくる撮影でもなかったので、連写は30コマ/秒で十分でしたね。

人の動きがさらに激しい球技などを撮る機会があれば、「アクション優先」でAFがどれくらい特定の動作に反応してくれるのかを確認したいところです!

※撮影協力いただきましたリンクステコンドーアカデミー様、誠にありがとうございました! そして掲載遅くなって大変申し訳ございません!!
レビューを出せずにグズグズしているあいだに、EOS R6 Mark IIIという新製品まで発表されてしまいましたが……。

発表情報を見る限り、おそらくEOS R6 Mark IIIのセンサーは積層型ではないようで、しかもDIGIC Acceleratorも非搭載のようです。

動きの激しい被写体を撮影したい方にはEOS R5 Mark IIのほうがより適しているのではないかと思います。

一方で、そんなに動き回る被写体を撮るわけでもないという方には、EOS R5 Mark II やEOS R1世代の最新AFアルゴリズムを搭載したEOS R6 Mark IIIは魅力的な機種かなと。

このあたりもまた追って情報発信できたら良いなと思っております……!
発売直後は半年以上の納期待ちも当たり前だったEOS R5 Mark IIですが、さすがに発売から1年も経つとほぼ納期待ちなしで買える状況になっています。

2025年11月現在で¥589,050という価格も、スペックを考えればいまだにまったく納得感があるカメラだと言えるでしょう!

ちょこちょこ中古も出回って初めておりますので、「間違いない1台」としてご検討いただければと思います……!



しかも11/14(金)からの「キヤノン 冬のキャッシュバック2025」の対象にも入っており、¥70,000という高額のキャッシュバックが入るのも見逃せないですね……!!




というわけでこんなもんで禊(みそぎ)は済みましたでしょうか……?

6,000字オーバーの文字量でもかいつまんでしか機能紹介しきれていないことにおののきながらも、今回はこれぐらいで締めさせていただければと思います……!

それでは今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました!

また次回のブログでお会いしましょう~。

【おまけ】

別にEOS R5 Mark IIでなくても撮れる被写体なので本文中に写真あまり載せませんでしたが、兵庫県 尼崎市にある「武庫川髭の渡しコスモス園」で撮った写真です。

おまけとしてここに作例として載せておきます。

今年も11月下旬ごろまでコスモス畑が無料開放されており、ちょうどいま見頃とのことです~!