あなたに最適なのはどのZ?【Z6III・ZR・Zf・Z5IIの違いを解説】

こんにちは~。編集長 中村です。

先週公開したNikon ZRの記事が予想以上に好評で、かなり多くの方に記事をお読みいただいております。ありがとうございます!

一方で、「写真メインであまり動画は撮らないけどZR買ってみるのどうかな……?」とか「Zシリーズのフルサイズ機が充実しすぎていてどれが良いか分からない!」というお声もちらほら聞きます。

そこで今回は、カタログスペックが似ているZ6III・ZR・Zf・Z5IIの4機種のうち、どのカメラがどんな人におすすめなのかを解説していきたいと思います!

ぜひ参考にしていただければと思います~。

■目次
【まずは4機種の基本スペックについて】
【Z6IIIはどんな人におすすめ?】
【ZRはどんな人におすすめ?】
【Zfはどんな人におすすめ?】
【Z5IIはどんな人におすすめ?】
【選択肢の増えたZシリーズ 今後にも期待!】

【まずは4機種の基本スペックについて】

さて、まずは今回ピックアップしたZR・Z6III・Z5II・Zfの4機種の基本スペックを確認してみましょう。

4機種とも最新の画像処理エンジンEXPEED 7を搭載し、9種類の被写体検出・追尾が可能です。

センサーサイズはいずれもFXフォーマット(フルサイズ)有効画素数も4機種ともに同じですが、以下のような違いがあります。

・Z6III…… 有効2450万画素部分積層型CMOSセンサー
・ZR………有効2450万画素部分積層型CMOSセンサー
・Zf……… 有効2450万画素裏面照射型CMOSセンサー
・Z5II…… 有効2450万画素裏面照射型CMOSセンサー

Z6IIIとZRはいずれも部分積層型センサーであり、一方でZfとZ5IIは裏面照射型センサーです。

「そもそもこの2つの違いが分からん!」という方がけっこう多いと思いますので簡単に説明しますと……。

ZfとZ5IIに採用されている裏面照射型センサーとは、イメージセンサーの受光部(光を受け取って電気信号に変える部分)が回路部の上に備えられているセンサーのことです。

なぜこれが「裏面」なのかというと、かつてイメージセンサーの構造は「回路部が上・受光部が下」という構造が一般的だったからです。

これを逆転させ、受光部を上にすることで光を効率的に取り込むことができるような構造にしたのが裏面照射型センサー。

この裏面照射型センサーを発展させたものが「積層型センサー」というものです。

センサーの受光部と回路部を別々にした「二層構造」にすることで、光を電気信号に変換して情報を読み出しする速度が大幅に向上しています!

これによって、連写性能の向上や動画撮影時により高いフレームレートの動画を撮影することが可能となりました。

また、センサーの露光・読み出しタイミングのラグによって生じるローリングシャッター歪みも大きく軽減しています。

しかし、積層型センサーは高性能であるぶん製造コストも高く、それに比例して積層型センサーを採用したカメラは高価になってしまいます……。

画像引用:ニコンイメージングジャパン Z6III 製品ページ

そこで、Nikon Z6IIIは「部分積層型センサー」というものを新たに採用しました!

センサー受光部の上下に高速処理回路を積層配置することによって、従来の非積層型センサーよりも読み出し速度を向上させることに成功しています。

積層型センサーには読み出し速度は劣りますが、性能とコストのバランスが取れた「良いとこどり」なのがこちらの部分積層型センサーとなっています!!

そのため、Z6IIIおよびZRはこちらの部分積層型センサーを採用しているため、ZfやZ5IIよりも連写性能や動画性能に優れた機種だと言えますね。

それでは、これを踏まえてそれぞれの機種がどういう人におすすめかを詳しく解説してまいりましょう!

【Z6IIIはどんな人におすすめ?】

それではまず、いちばん新品価格が高いZ6IIIからご説明しますと……。

2025年9月現在、Z6IIIはボディ単体で¥356,400(税込)となかなか高価なカメラですが、それは前述の通り部分積層型センサーを採用していることがまず一因です。

そのぶん静止画の連写性能は凄まじく、メカシャッターで約14コマ/秒・電子シャッターで約20コマ/秒高速連写が可能になっております。

また、JPEGのみでの記録にはなりますが、ハイスピードフレームキャプチャー+約30コマ/秒(C30)・約60 コマ/秒(C60)・約120コマ/秒(C120)の超高速連写も可能!

それに加え、EVFもZシリーズミラーレス史上最高の解像度・輝度・色域を実現しており、フラッグシップのZ9/Z8を部分的には追い越しているハイスペック機です。

動画性能もかなり強力で6K 60PのN-RAW動画をボディ内で記録できるようになっており、静止画・動画どちらにも隙が無いカメラとなっています。

Nikon Z6III 使用レビュー【部分積層型センサーの実力や如何に?】

なので、このZ6IIIは「惜しみなく連写して写真を撮りたい方」に適したカメラだと言えますね。

逆に言えば、連写して写真を撮らない方はスペックを持て余してしまう可能性が高いため、もっと安価なZ5IIでも十分かもしれません。

Nikon Zシリーズで春競馬 G1レースを撮ってみました!!【Z6III 編】

なお、部分積層型センサーは「非積層型センサーよりは読み出しが早い」ものですが、だからといって万能ではないことに注意が必要です。

上の写真は秋葉原店 細谷がZ6IIIで撮影したものですが、全体的に画像が斜めになっておりローリングシャッター歪みが目立ちます

望遠レンズをつけて大きく機材を振りながら電子シャッターで撮影すると歪みが目立ちやすいので、その場合はメカシャッターで撮影するなど工夫が必要でしょう。

なので、「Z6IIIとZRはセンサー同じなんだしZRで写真撮ってもいいかな?」と考えていらっしゃる方は、ZRにはメカシャッターが無いことにご注意ください。

【ZRはどんな人におすすめ?】

続いて、Z6IIIと同じセンサーを積んだZRについて解説してまいりましょう!

こちらのZRは2025年9月現在で¥269,280(税込)という若干リーズナブルな価格となっており、「動画あまり撮らないけどZRでも良いかも?」という方を見かけますね。

しかし、このカメラのウリはなんと言っても動画性能で、RED譲りのカラーサイエンスをニコンのカメラに落とし込んだ「R3D NE」を収録できることが最大の強みです。
ボタンデザインもかなり割り切ったものとなっており、物理ボタンを少なくして主にタッチパネルで操作することを前提としたUIになっています。

このあたり、好き嫌いが分かれそうですが、個人的には直感的に操作できてあまり苦労しない感じがしましたね。
前回のブログでは話が煩雑になるので紹介しませんでしたが、動画用メニュー画面にフォーカスピーキング・ゼブラ表示などの動画撮影時に必須の機能がまとまっているのが超便利です!

この画面から背面モニターの輝度も変更できますので、EVFのないカメラでは画面が見づらくなる晴天屋外でも意外と使いやすそうかなと。

なお、長時間にわたる動画撮影にも耐えるようパッシブサーマル設計のマグネシウム合金ボディーを採用しているため、放熱対策はバッチリとなっています!

先ほどZ6IIIの解説で触れたハイスピードフレームキャプチャー+は実質的に「動画の1コマ1コマを写真として切り出している」ような機能なので、使うとかなりボディが発熱します。

そのため、ハイスピードフレームキャプチャー+で写真をガンガン撮っていきたい方には「写真機としてZRを使う」というのは実はけっこうアリなのかなと思いますね。

ただし、前述の通りローリングシャッター歪みの問題はあるので、その点はあらかじめ考慮していただければと。

また、メカシャッターが無いため、ストロボ同調速度は1/60秒まで。

室内で写真を撮る時に蛍光灯の明滅が写真に写ってしまうフリッカー現象も起きやすいので、このあたりも注意していただければと。
Nikon ZRのすごいところ3点を解説!【ニコンプラザ大阪で見てきました】

いずれ発売後に実機お借りしていろいろ使ってみたレビューを出したいと思いますが、ひとまず「ZRの何がすごいか」をまとめた記事を先週公開しております。

こちらもぜひ参考にしていただければと思います~。

【Zfはどんな人におすすめ?】

続いて解説いたしますのはZf

2025年9月現在で¥269,280(税込)とわりかしリーズナブルでありながら、スペックも特に過不足なし

キットレンズのNIKKOR Z 40mm f/2も性能に定評があるレンズですので、オトク感があります。

グリップがほぼないフラットなボディのため長時間の撮影などにはそこまで向かないかもしれませんが、それを補って余りある圧倒的な見た目の良さ

あらたにシルバーモデルも発売となり、プレミアムエクステリアも新色が追加されたためますますオシャレカメラとしての地位が確固たるものとなりつつありますね。

このZfのデザインを見て「カッコいい!」と思った方、写真も動画もカジュアルに撮るのが大半であれば迷わずZfを選ぶことをおすすめします。

しかし一方でセンサーはZ6IIIやZRのような部分積層型ではないため、連写するような撮影にはそこまで適していませんのでご注意を。

また、今回ピックアップした4機種のなかでZfのみN-RAW動画が収録できないので、「がっつりグレーディングして動画やりたいです!」という方には若干不向きかもしれません。

とはいえ、Zfもファームウェアアップデートでフレキシブルカラーピクチャーコントロールにも対応しております。

クリエイター監修のイメージングレシピをカメラに取り込めば、後から編集ソフトでがっつりグレーディングしなくとも撮って出しそのまま個性的なルックで動画撮影が可能

Zfは2023年発売のカメラですが、ファームアップでいろいろと機能が順次追加されていて最新機種にも見劣りしない機能の充実ぶりなのが素晴らしいところですね。

Zf シルバー発表! ニコンプラザ大阪で見学してきました

シルバーモデルの発表と同時に、画像や映像に粒状感を追加するフィルムグレインが今後のファームアップで追加されることがアナウンスされました。

これからも進化していくZf、まだまだ人気は続きそう!!

【Z5IIはどんな人におすすめ?】

最後に、いちばんお手頃な価格のZ5IIをご紹介いたしましょう。

2025年9月現在で¥232,650(税込)と最も安価なのがこちらのZ5IIですが、センサーの有効画素数もそこそこで画像処理エンジンも最新のEXPEED 7を搭載しています。

他のEXPEED 7搭載機と同様に9種類の被写体検出AFも使用可能なので、価格と性能の釣り合いが良い・コストパフォーマンスが良いのがこちらのZ5IIですね!

5月に実機お借りして使わせていただいた(いまだにブログにはまとめられてない)ので使用感を少しだけお伝えしますと……。

さすがに連写性能等でZ6IIIには劣るものの、動物園とかに持って行って少し動いてる動物などを撮るぐらいなら非常に快適に使えます

グリップ・EVFもニコンらしい堅実な造りで扱いやすく、大半の方がストレスなく使える万能機だと言えますね~。

走り回る子どもにもしっかりAFが食いつきますので、趣味の範囲内で写真を撮るのにはまったく困らない性能です。

「素早く動き回る被写体を撮りたい」とか「写真よりも動画を撮りたい」とか「独特のボディデザインのカメラが欲しい」といった明確なニーズがあるわけではない方には、いちばんおススメしやすい機種がこちらのZ5IIだと思います。

Nikon Z5IIを ニコンプラザ大阪で見てきました【待望の最新ミドルクラス機!】

ざっくりとしたスペック解説をプラザ取材記事でも書いていますので、こちらもあわせてご確認いただければと思います~!

作例つき製品レビューは……もうちょっとお待ちください……。

【選択肢の増えたZシリーズ 今後にも期待!】

急ピッチで魅力的な新製品を送り出してくるNikonさんの快進撃のかたわら、「どれが自分にいちばん合ってる……??」という疑問を抱く方へ向けて今回はブログにまとめてみました。

スペック的にはどの機種も十分申し分ない水準に来ていると思いますので、予算やメインで撮る被写体、動画 or 静止画どちらをメインにしたいかなどに応じてご検討ください!

なお、大阪と東京にあるニコンプラザには各種新製品の実機が展示されており、思う存分使い心地を試してみることができます。

なので、ご検討中の方はぜひニコンプラザさんで実機をゆっくり触りながら検討していただくのが良いかと!

また、ナニワグループ店頭でも諸々の機材相談を承っておりますのでお気軽にお尋ねくださいませ。

それでは長くなりましたが今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

また次回のブログでお会いしましょう~!!