カメラ今昔物語 【オリンパス OM101 POWERFOCUS編】

こんにちは! 心斎橋本店のたつみです。

今年は本当に長い長い夏になっていますね。。(-_-;)

お住まいの地方毎でいろいろな様相の今夏。

立秋はとっくに過ぎ、お盆も終わったというのに連日猛暑日続出です。。

一方でいきなり滝のような豪雨に見舞われたりと油断も隙もありません。撮影に出掛けるにしても過酷な状況です。

くれぐれも水分補給を忘れずに、無理のない範囲で楽しみましょう!

そして毎回のごとく編集長に泣きを入れながらの『Theマイナー機種列伝』

第11回目のマイナーさんは 「オリンパス OM101 POWERFOCUS」の巻です

【一眼レフの「AF化」という大波】

世界初のAF一眼レフ・α7000が発売された1985年2月、それ以前とは写真機を取り巻く世界が大きく様変わりしました。

販売面においては万年下位に甘んじていたミノルタが放った「一眼レフの本格的AF化」の一撃は他社も唸り、カメラマニアは沸き立ち、今まで写真に縁遠かった多くの人達をファン化する事に結びつきました。

当時の一眼レフを製造していた競合他社はある意味岐路に立たされます。

もちろんAF化の研究や試作は様々なメーカーで試されており全くノウハウがなかった訳ではありません。

しかし超えなけらばならない壁は今までの新機種とは比べものにならないほど多岐にわたり、技術者たちを悩ませていたのでした。

そんなことを知ってか知らずか世間の度肝を抜いたミノルタは着々と販売実績を伸ばし、ついには念願のトップに踊り出ます。。

いよいよどうするライバルメーカー(てか営業社員たち。。(^^;)


【一味違うところを出しつつも。。】

独創的なコンセプトで一世風靡していたオリンパスはもともとAF化には推進的だったこともあり「ミノルタ追撃!」に舵を切ります。

しかしこれはどちかと言えば営業サイドの社内での猛プッシュによるものだったようで、開発サイドは多くの手立てを持っていなかったようです。

それでも技術者たちは工夫に工夫を重ねてほぼ突貫工事に近い状態で新型機を仕上げていきます。

・従来のOMマウントを踏襲する
・AF化にあたりレンズヘリコイドは設けずMF時はボディ側から制御する
・小型ストロボを携帯収納する

ライバルが持ち合わせていない仕掛けを施し勝負を掛けます。

迎えて1986年10月、ミノルタから遅れること1年半。。

自社初のAF一眼レフ「OM707」を何とか発売します(何とかって。。(^^;)

開発コンセプトに則って開発された訳ですが、パッとするどころか発売開始。

直後より各方面から辛口な論評の的になります。。(-_-;)

・従来レンズははめれるが機能的になにも出来ない。。だの
・新機構「パワーフォーカス」のやりにくさはどうしたのものか。。だの
・AFレンズ使用時はプログラムAEしか出来ないのちょっと。。だの
・小型すぎて役に立たないストロボって。。だの

まぁ~違う意味で話題になってしまい販売も決して順調とは言い難い始末。。

だから焦って作ってもって言ったじゃん!と技術陣がボヤいたとは聞いてませんが、まさか初号機でこけるとは思っていなかったオリンパス(てか営業部隊。。)

せっかく作ったAFレンズもボディが売れなきゃ宝の持ち腐れになります。

どうするどうするオリンパス。。

【まさかのMF回帰!?】

AF市場への足掛かりとして挑んだOM707がよもやのスタート不発。何とか打開策を講じなければなりません。

市場はAF一眼が席捲してる中で同じ轍を踏む訳にはいきません。せっかくラインナップしたレンズも活かさなければなりません。

考えに考えた結果は。。(あくまでもの想像です(^^;)

MF回帰!!(この場に及んでまじか!?)

OM707で散々に(てかボコボコに)言われたパワーフォーカスをブラッシュアップして新時代のMFの在り方を市場に提案する事にします。

まぁ~オリンパスらしいと言えばらしい発想 (笑)

OM707の補完というよりは何とかレンズを売って市場拡大につなげたいという想いの基、1988年2月に新型機「OM101 POWERFOCUS」を投入します。


【AF時代のMFの在り方】

新しい時代のMF一眼レフと想いで誕生した「OM101 POWERFOCUS」

どのようなカメラだったのでしょうか?

先ずは基本スペックから。。

発売年月:1988年2月
・型式 TTL自動露出式35㎜一眼レフカメラ
・マウント オリンパスOMマウント(AF/PFレンズ対応)
・シャッター 2秒-1/2000 (マニュアルアダプター装着時バルブ可能
・電源 単4型アルカリ電池4本
・寸法 幅151mm 高90mm 奥行63mm
・質量 560g 
・価格 45,000円
※上記は当時のメーカー製品カタログより参照

露出モードは基本プログラムAE専用機。

これはカメラ初心者として企画されたことや、キヤノンT50オートマンのヒットに起因しての事。

しかしOM707での教訓を活かすようには一味加えます。
別売の「マニュアルアダプター2」(当時4,000円)を右側に装着する事で絞り優先AE&マニュアル露出が可能となります。

ボディ上部のスイッチで簡単に切り替えできるようしているのは秀明!

カメラに慣れて写真の腕前が上がったら機能UPして使って下さいねとはニクイ!(笑)
(てか、そう思うなら始めからセットしとけやぁ~と思わなくもないですが。。)

さらに本機の最大の特徴が「POWERFOCUS」!!

背面右側に設置されたパワーフォーカスダイヤルを回す事でフォーカス駆動する優れ物!

回す速さによってピントスピードも制御できるようにしてあるところはこれまたニクイ!

またデザインはエンジニアプラスチックを使用により流れるような流線美を実現!

この形を崩さないように当初搭載も検討された内蔵ストロボはあえて組み込まない事にした潔さがニクイ!

従来のOMレンズを使用できるようにして既存ユーザーの信頼に応えようと工夫。

シンプルかつ発展性も加味して価格は45,000円と低価格設定!

話題にならない訳が。。(あららいつもと雰囲気が違う!?)

発表会においてメディアや雑誌記者たちにはそこそこの評価はされました。

しかしAF一眼時代を本格的に迎えて今更ながらMF?と疑問を投げかけられる始末。。

メディアの評判が上がらなければ紹介される機会も限られ大きく扱わる事のなく。。

MFの在り方に一石を投じようとしていたオリンパスに暗雲が立ち込めるのでした。


【最後に】

今までにない発想で果敢に挑戦をしたOM101。

実はミラーBOXに下側にはスペースがあり、AFモジュールを入れる予定があったのではと言われたのは有名な話。

もしかすると101をベースとしてAF一眼が平行開発されていたかもしれませんが真相は闇の中。

OM707の販売不振で売れ残ったAFレンズを捌く為に登場したと揶揄された不運のカメラ。

いろいろな状況が絡みオリンパスはAF一眼およびAFレンズの開発を休止。

90年代のAF一眼レフ競争からは撤退する事になります。

時は流れて現在。。

評論家やカメラマニア達の間であの「POWERFOCUS」が結構使いやすい!や面白い!といった再評価がされていますがなにぶん販売台数も限られ、完動品も少ない状況。

またまた生まれてくる時代が違ってればと思うばかりのカメラです。