カメラ今昔物語 【ペンタックス SFX編】

こんにちは! 心斎橋本店のたつみです。

日本列島、例年通り梅雨入りしたかと思っていたら途中で前線が消えてしまい中休みどころか「梅雨入りしたん?」と思う始末。。(苦笑)

と思っていたら突然の豪雨に見舞われたりとひっちゃかめっちゃかな様相(-_-;)

そんなこんなでしまいには観測史上最速での「梅雨明け」となってしまい、突然の夏本番です!(笑) ※てか笑うところではありませんが。。

雨期には雨期にしか撮れない被写体もありますが恐らく来年まで持ち越しです。

いつもより早めの夏です!水分補給も怠らずカメラを持って出掛けましょう!

そして毎度毎度の締め切りに追われながらの『Theマイナー機種列伝』!

第10回目のマイナーさんは 「ペンタックス SFX」の巻です


【世界初だったのに】

当コラムで毎回の如く発してる「αショック

今からちょうど40年前の1985年2月に発売されたAF一眼レフ「ミノルタα-7000」は、それまでの業界の景色を一変させ、一眼レフのAF化に大きく筋道をつけました。

それはその前後に発売されたライバルメーカーのカメラを次々とマイナー機種へと葬り去ったことは当コラムでお話した通り。。(^^;

そのころ業界の雄であった旭光学(以下ペンタックス)も例外ではなく、αショックにより大きくシェアを奪われることになります。

80年代半ばまでのペンタックスは卓越した技術力と先を読み取る力で、一眼レフ機構改良と普及に取り組み業界をリードしてきました。

クイックリターンミラーの実用化やTTL測光の採用は有名で、それらは現在機種にも脈々と受け継がれています。

さらにαショックから遡ること5年前の1980年に世界初のAF一眼レフ「ME-F」を発売したメーカーでもありました。

めちゃめちゃスゴイぞペンタックス!(てか開発陣!)

ただしこのME-Fに関しては精度を求めるあまりに測距に時間が掛り、またAF駆動はレンズに組み込んだモーターで動かす為にお世辞にも早いとは言い難く、評判になる程の機種とはなりませんでした。

そのあたりはライバル社も同様で「AF=そのうちに出来たら良いよね~」的な機構として位置づけられていただけに「αショック」の衝撃はことさら大きく、特にAF一眼のパイオニアでもあるペンタックスに至っては大打撃を被った形となった訳です


【老舗メーカーの名にかけて】

世界一早くAF一眼レフを発売しならがチャンスを物に出来なかったペンタックス。トンビに油揚げをさらわれるとはまさにこの事 (-_-;)

もちろん各社も黙ってこの状況を見ている訳もなく、次々と対抗機種の発売に踏み切ります。

オリンパスはフラッシュを別装する工夫をしたり、ニコンはマウントを変更せずAF対応したりと何とかαとの差別化を図りますがいずれもそこそこ止まり。

キヤノンは至っては間に合わせ感満載の「T80」でよもやの大惨敗を喫します。

世はまさに「αの天下」状態。。

品薄で諦めて他のメーカー品を買うという正に屈辱的状況が数カ月続きます。

この状況に対してどうするペンタックス(てか開発陣 (-_-;)

ここで各社の動向を分析し入念に対抗策が議論されます。

掲げた方針は以下の通り。

・従来ユーザーの事を考え「マウントを変更しない」
・先進性を見せる為「ストロボの内蔵化」
・安定したAF駆動の実現の為「新型電池の採用」

つまり全てαが持ち合わせていない独自性を発揮し勝負する事を意味しています。

その間にも新たに京セラが参入し、さらにキヤノンも巻き返しを図るべく新型機を発表。ペンタックス以外はAF一眼を発売しまさに戦国時代を迎えます。

特にキヤノンの巻き返しはすさまじく社内ではともかく早く新型機の投入が望まれていました。

そしてついに1987年2月のカメラショーで万を持して新製品「SFX」を発表。

実にα7000の発売から僅か2年で開発・発売までこぎつけたのは老舗としての意地以外の何物でもなかったはずです。

マジですごいぞペンタックス!(てか開発陣! (/・ω・)/)


【αを凌駕する出来栄え】

意地とプライドを掛け短期間で開発された「SFX」。どのようなカメラだったのでしょうか?

まずは基本スペックから。。

発売年月:1987年3月
・型式 ストロボ内蔵マルチモードTTL AE・AF35ミリ一眼レフカメラ
・マウント ペンタックスKAFマウント
・シャッター B・30秒-1/2000 ※絞り優先露出時
・電源 6Vリチウムパック電池(BR-P2・2CR5)
・寸法 幅157mm 高99mm 奥行63.5mm
・質量 665g 
・価格 80,000円
※上記は当時のメーカー製品カタログより参照


露出モードはプログラム及び両優先AEとマニュアル露出。
そしてこのカメラの最大の特徴でもある内蔵ストロボは、当時としては画期的な本体中央に配置ししかもリトラクタブル化を実現。

側面にあるプッシュボタンを押す事で斜め前へせり出す念の入れよう。

ガイドナンバーは14で近距離撮影なら十分なレベル。

操作系はレバー化され、ストロボ部の後方に備えた大型液晶パネルを見ながら操作が可能。高機能ながらシンプルに扱え視認性も抜群!

熟成されつつあったエンジニアプラスチックによりこれらにパッケージを確保したことはホントに素晴らしい!
そして従来から引き続いてのペンタックスKマウントを改良しAF化を実現

フォーカスエイドながら従来レンズも使えるようにし、既存ユーザーにもアピール。

電池は当時カメラ専用バッテリーとして開発されたBR-P2(現CR-P2)※を採用!
※後に2CR5も使用できるようにバッテリーグリップを改良

α7000の弱点であったバッテリー持ちの悪さを克服!


これだけの盛り沢山感でしかも古いレンズも使えて価格は80,000円とリーズナブル!

そうです!話題にならない訳がない!!(毎度ありがとうございます(笑))

ライバル社は遅れを取りながらもユーザーのニーズを徹底的に考えて作り上げた意気込みはさずがペンタックス!(てか開発陣 (^^;)


【最後に】

意地でもαよりも良い物を作るという信念で誕生したSFX。従来からのペンタックスユーザーを中心にヒット商品となります

しかし時代は以前とは比べものにならないくらい変化していきます。。(-_-;)

わずか1年半後の88年11月にマイナーチェンジ機SFXnを投入し機能的な補完を図りますが、それにともないSFXは自然終売に向かい役目を終える事になります。

さらにせっかくαを凌駕できたと思ったら一息つく間もなくライバル達はすでに第2段階に移行しつつありました。

以降ペンタックスもさらに過酷なAF一眼レフ競争に飲み込まれていきます。

時は流れて現代。。

世に残るSFXは「n」タイプほとんど。。

初代は見かけることはとんと無くなりましたが、どこかで見かけた時は当時の開発陣の意地の塊を感じてもれえればと思います。

(了)