こんにちは~。編集長 中村です。
先日の大阪芸術大学での機材展示会で新入生の皆様とお話したり、X(Twitter)でいろいろな方とお話していて思ったことがあります。
それは、自分が想像していた以上にカメラ選びに悩んでいる方は多いようだ……ということ。
「これからデジタルカメラを買ってみたい」
「けど、どういう風にカメラを選んだらいいのか分からない」
「スマホでもきれいな写真が撮れる時代にわざわざカメラを買おうと思う方なんて物好きな人はなかなかいないだろうなぁ……」とか思いがちですが……。
そもそも自分だって5年前に自分のカメラを買ったばかりで「物好きな人」の側であったことを、ついつい忘れてしまいます。
そこで今回は、「これからデジタルカメラを買いたい!」という方に向けた、アドバイス的な記事を書きたいと思います。
あくまでも一カメラ屋店員の私見ではございますが、これから趣味で「カメラで写真を撮る」ことをはじめてみたい方の参考になれば幸いです!
【①必ずしも「画素数=画質」ではない】
「画素数」とはざっくり言うと、カメラのイメージセンサーがいくつの画素(ピクセル)で出来ているか?ということを指します。
例えば2000万画素のカメラだと「2000万個のピクセル(点)で構成された写真が撮れます」ということです。
そう聞くと、「じゃあこの画素数ってやつが多ければ多いほうが綺麗な写真を撮れるのかな!?」と思われるかもしれませんが……。
必ずしもそうとは言い切れません。
・SONY ZV-E1(約1210万画素)
・SONY α7IV(約3300万画素)
※2枚ともWEB掲載用にリサイズかけています
おそらく、どちらが画素数の多いカメラで撮った写真でどちらが画素数の少ないカメラで撮った写真かを判別できる方はほぼいないのではないでしょうか?
スマートフォンの画面で、しかもSNSやWEBサイトに掲載された状態の写真を見る場合、その違いを判別することは極めて難しいです。
画像中央付近を思いっきりトリミングしてみて……。
「編集時に大きく切り取っても大丈夫」
「大きな印刷物として印刷できる」
などなどの利点は、画素数が多いカメラならではの恩恵と言えるでしょう。
しかし、SNSなどに写真を載せて見られることを想定する場合、「画素数が多いカメラで撮った写真=画質がキレイ」とは単純に言い切れないところがあります。
「一般人が趣味で使う分にはこのぐらいで十分すぎる」というのがわたくしの見解ですね。
「画素数ってどれくらい無いといけないんだろう……?」と不安に思っている方とお話するとき、わたしは「あまり悩まなくていいんじゃない?」とお答えしています。
【②新しくて高いカメラでなくても綺麗に撮れる】
上の写真は2008年に発売されたCanon EOS 5D Mark IIで撮影した写真。
加工・編集を一切施していませんが、それなりに綺麗に撮れてると思いませんか?(繰り返しですがあくまで一般人基準!)
例えば上の写真は、2024年8月に発売されたCanon EOS R5 Mark IIで撮影した写真です。
こちらのEOS R5 Mark IIにはディープラーニング技術を用いた被写体検出機能が入っており、鳥や人物などの被写体をカメラが自動で認識してトラッキングし、ピントも合わせてくれちゃいます!
今どきのカメラ製品にはだいたいこのような被写体認識機能が入っており、カメラ任せで楽にいろいろな被写体にピントを合わせて撮影できるようになっています。
これらは、デジタルカメラに搭載されている画像エンジン(カメラ内で画像データを処理する頭脳的なもの)の高性能化によって可能になったことです。
これと同時に、1つの画素(ピクセル)あたりに当たる光が少なくてもノイズが出にくくなったため、センサーをより細かい画素に分割することが可能に!
つまり、センサーを構成する画素を増やすことができるようになった、「高画素化」が可能になりました。
それによりデジタルカメラの画素数は飛躍的にアップし、最初にお話したような「どこまで画素数が必要なのか?」という困惑を引き起こす原因にもなっていますね。
余談ですが「高画素化」はセンサーの高性能化だけでなく、画像エンジンの進化も大きな要因です。
画像エンジンがより高速にデータを処理できるようになったため、画像がより細かく分割されてデータ量が増えたのにも対応可能になったという側面もあります。
しかし、それは必ずしも「昔のデジタルカメラでは綺麗な写真を撮れなかった」ということではありません。
いま我々が「古いカメラ」として見ている機種も、発売当初は最新のテクノロジーだったわけですので。
いまとなっては「古いカメラ」として扱われているそのカメラで、当時いろいろな方が素晴らしい写真を撮ったはずです。
WEBサイト・SNS・YouTubeなどでは最新機種の情報ばかりがすごいスピードで流れてくるので「最新のカメラじゃないとダメなのかな……?」と不安に思う方も多いでしょうが……。
そういう方には「必ずしも最新のカメラじゃないとダメということはありませんよ」ということをお伝えしたいです。
【③「自分が気に入ったカメラ」が一番良いカメラ】
どれだけスペックが高くて素晴らしい性能のカメラであっても、好きになっていろいろなところに持っていけなかったら何の役にも立ちませんので!
まずは「写真を撮るのが楽しい」という気持ちが維持できることこそ大事なんじゃないかとわたくしは思います。
「せっかくカメラ買ってみたはいいけど重いしめんどくさいしもういいや……」となってしまうのは、あまりにも寂しいことですから。
先ほどの「画素数」という言葉は「センサーがいくつのピクセルで構成されているか?」を示していましたが、そもそもセンサーの大きさ自体にいくつか種類があるのです。
今回は詳しい説明は省いて結論だけお伝えしますと、傾向としてセンサーが大きいと明るいところ・暗いところをより詳細に写真として記録できる場合が多いです。
そのため、「フルサイズ」と呼ばれるフィルムの写真1コマとほぼ同じ大きさのセンサーを搭載した機種が最近では人気ですね。
最近では「フルサイズだけどボディもレンズも小型軽量」といった機種が増えていますね。
趣味で日常的に使うことを考えるとカメラの重さ・サイズ感はかなり重要な要素ですので、購入前にしっかりと実機を触って判断されることをお勧めします!
上の写真はAPS-Cというフルサイズよりちょっと小さいセンサーのカメラ・FUJIFILM X-S10で撮った写真ですが、じゅうぶん綺麗に撮れていると思いませんか?
APS-Cよりさらにサイズが小さいマイクロフォーサーズという規格を採用していますが、センサーが小さいぶん望遠レンズも通常より小型軽量で非常に取り回しが良いです。
カタログスペックはあくまでカタログスペックであり、状況によってメリットにもデメリットにもなります。
なので、趣味でカメラを買って写真を撮ってみたいならば「見た目がかっこいい」とか「手に持ってみてフィットした」とかそういうフィーリングの部分が大事かなと。
大事なのは、あなたが「良さそう」と感じたカメラを選ぶことです。
【さいごに】
延々と同じ話をしている気がする。
カメラ店勤務のわたしに言わせると、「好きなカメラを好きなように使ってよい」ことがカメラ趣味のもっとも楽しいところだと思いますね。
さすがに「仕事としてこれから写真の撮り方をマスターしたい」「写真表現を追求したい」という方にはまた別の提案をいたしますが……。
趣味の範囲なら、「○○じゃないといけない」みたいな話は窮屈なだけなのでは?と。
そんな風に悩まれているお客様は、弊社ナニワグループ(カメラのナニワ・レモン社・タカチホカメラ)の店頭にぜひお越しいただければと!
お客様ひとりひとりに適したご提案ができるよう、スタッフ一同で誠心誠意ご対応させていただきます。
という感じでまあまあ長くなりましたが、皆さま最後までお読みいただきましてありがとうございました!
また次回のブログでお会いしましょう~!!
【おまけ】
補足としていくつか過去記事を貼っておきます。
今回の記事中では説明しきれなかった話をいろいろしてますので、良かったら続けて読んでいただけると嬉しいです!
【おまけ2】
これに7,000円くらいで買ったEF 50/1.8 IIという総額2万円未満の機材で写真を撮ってました……。
Kissはいいぞ!!