「構図」はとりあえず2つだけ知っておけばいい【カメラ屋店員の私見】

こんにちは~。編集長の中村です。

最近、大学の同級生には子どもが生まれるひとも多くなってきて、「ナニワの商人」としてここぞとばかりに「カメラ買おうよ!!」と言うのですが……。

返ってくるのは「写真なんて難しいこと、いまからできないよ……」という気弱な返事ばかり。

わたくしも、4年ほど前に兄の子ども(甥っ子)が生まれて写真を撮り始めるまで、同じような心持ちでした。

しかし、実際やってみると、最低限のポイントさえ押さえていれば、少なくとも「下手ではない」写真を撮ることはそんなに難しくないです。

今回は、そんな「どう撮っていいか分からない」の声にお応えするために、写真の「切り取り方」の基礎となる「構図」について説明していきたいと思います。

紹介する構図も、2種類だけ。この2つを理解して使えるようになるだけで、だいぶ違いますので。

スマホで写真を撮る方にも参考になると思いますので、どうぞお付き合いください~!

■目次
【「構図」ってなに?】
【とりあえず構図を2つ覚えよう】
【定番構図①:三分割構図】
【定番構図②:日の丸構図】
【見せたいものをどこに置くかが肝心】

【「構図」ってなに?】

まず、そもそも「構図」とはなんでしょうか?

いろいろな説明しかたがあるでしょうが、ひとまず「画面の中に被写体を配置するやり方」という言い方をしてみましょう。

たとえば絵の場合、真っ白なカンバスの上にいろいろなものを書き込んでいって1枚の絵が完成しますね。

同じように、写真の場合も「写したいもの」が画面内にうまく収まるように調整してシャッターを切ることが求められます。

そのやり方のパターンが「構図」なわけですね。

【とりあえず2つ構図を覚えよう】

さて、この「構図」は非常にたくさんの種類があります。

試しにGoogleで「写真 構図」で検索すると、「初心者必見! 写真の構図16選」みたいなのが出てくるのですが……。

いきなりそんな大量に教えられても使いこなせなくないですか?

実際、わたくしが写真はじめたての頃、波のように押し寄せてくる「こう撮らなきゃいけない」を飲み込み切れずにずいぶん苦労しました。

なので、今回は最低限使えるようになったほうがいい構図を2つだけご紹介いたします。

とりあえずこの2つだけでも覚えておけば、「どう撮っていいか分からない!」になることがだいぶ減りますので。


【定番構図①:三分割構図】

ではまず1つ目。三分割構図のご紹介です。

初心者向けの写真教本には必ずと言っていいほど載っており、非常に汎用性が高い構図となっております。
写真の長辺と短辺をそれぞれ三分割し、その交点にメインの被写体を置くというやり方になります。

この写真ですと、ロバの顔が右側の交点に重なるように配置されているため、バランスよく見える写真になってますね。

これをマスターするだけでだいぶ「それっぽい」写真になります。
では、なぜこの交点に被写体を置くと「いい感じ」に見えるのでしょうか?

人間の視覚というものは、「重さ」の感覚、それが落ちたりしないかどうかの「安定感」の有無に実はとても敏感です。

メインで写したい被写体はたいていサイズ的に大きく、「重い」ものに見えます。

これを、画面の真ん中からほんの少しずらした交点に配置し、画面内のバランスを取りやすくしたのが三分割構図になります。
ただし、乱用は禁物!!  上の写真はあまり良くない使い方の例です。

メイン被写体のバラを左側に配置しましたが、反対の右側がすっぽり空白になってしまっており「バランスが悪い」感じがしますね。

メインの被写体の反対サイドに、「釣り合う」ような何かを置いてあげることを推奨します。

画面の一部が大きく空いていると「スペースをうまく使えていない」状態にもなりますし。もったいない。
その際に、例えば前ボケ(被写体より前のものがボケること)を配置すると、遠近感を出せるうえにメインの被写体を邪魔しづらいです。

これはけっこう使いやすい画面構成で個人的におすすめ。

スマホではなかなかボケを作りづらいですが、レンズ交換式のデジタルカメラで写真を撮られている方はぜひ試してみてください!
無駄な空白を作らないためにも、長さがある被写体(動物や乗り物など)だったら、交点に「」をおいてほかの部分を画面内にすっぽり収める感じに撮るのも良いです。

遠近法的に「奥行き」も出やすいので、だいぶ見栄えが良くなります。

ちなみに、きっちり厳密に被写体が交点上になければいけないわけではありません

被写体の中心が「だいたい」交点に重なっているだけでだいぶ印象が変わりますよ~。
画面比率が3:2でなくとも事情は同じです。

画面をタテヨコそれぞれ三分割して、だいたいその交点に被写体を置く。

そして反対サイドに適度な何かを配置して空白を作らない。

これをやるだけでけっこういい感じになります!
もちろん、で撮るときも使えます。

ミラーレスカメラであればファインダーや液晶画面に三分割のグリッド線を表示する設定にできるものがほとんど。

当然、スマートフォンのカメラでもグリッド表示できる設定があります。

何で撮るのであれ、写真撮影身に慣れないうちはグリッドを表示して撮ってみることをおすすめしますよ~。
この写真は水平線が横の三分割線に重なるように撮ってみました。風景写真を撮る時などにも使える構図です。

交点をナナメにおさえるのもアリ。

とりあえず、「三分割線が作った交点4つをうまく使う」ことが要点であり、それができれば「安定感のある」「納まりのいい」写真を撮りやすくなります!!


【定番構図②:日の丸構図】

お次に紹介していくのは、これまた定番の「日の丸構図」というものです。

文字通り、「日の丸」のように画面のど真ん中に被写体を配置するシンプルなやり方。
シンプルで誰でも使える構図に見えますが、実際に使いこなそうとすると意外と難しい構図になります。

そのため、少し前の初心者向け写真教本では「日の丸構図」はなるべく使わないように、と書かれるほどでした。
その理由ですが……先ほど三分割構図の説明をする際に「安定感」の話をしましたが、日の丸構図は安定感がありすぎるのです。

この安定感に釣り合うぐらい、インパクトが強めの被写体を選ばなければ単調な写真になってしまいます。
被写体選びだけではなく、背景に余計なものが写りこむと目立ちやすいというデメリットも。上の写真は良くない例です。

この写真のシュガーポッド自体はカラフルで日の丸構図に適しているとは言えますが……。

被写体を真正面からストレートに写しているぶん、背景にあれこれ写りこんでいるのが非常に目立ってしまいます。

シンプルゆえに「被写体自体のインパクト」「被写体以外の余計な写りこみの処理」が要求されるというわけです。
また、人の目は写真のハイライト(明るい部分)に誘導されがちです。

この写真は、いちばん明るい部分がハスの花の中心。被写体そのものです。

なので、まっすぐ被写体に目が行く写真になっています。
一方でこちらの写真は、明るい部分は画面両端の窓です。

まず最初、窓に目が行きますが真ん中のオブジェの異様な形状がインパクトあるのでなんとか成立しています。

しかし、画面端の窓にいったん目が行ってから真ん中の被写体に視線がいきます。先ほどの写真とは視線の動き方がまったく違いますね。

このように、明るい部分が被写体そのもので真ん中にあるか、それ以外のところにあるかで印象が大きく変わります

これが「日の丸構図」の難しさです。
とにかくシンプルな構図ですので、ちょっとしたテクニックを使うだけで効果が強く感じられます。

個人的には、横線が1本入っていると安定感がさらに増していいなぁと。シンメトリー性を強調できて、インパクト大です。

ちなみに、線がまっすぐになっていないと一気に散漫な感じの写真になります。

iPhoneのデフォルト画像編集機能でも傾きは修正できますので、安定感を出したいならそこは意識しておいたほうがいいかもしれません!
「シンメトリーなかたち」「横線が入っている」ということでド安定なのは建物ですね。

全体がすっぽり真ん中に収まるように撮れば、シンメトリー性が出て非常に見栄えが良いです。
ちなみに「安定感」という観点で言うと、被写体が「三角形」になっていると最強です。安定感MAX!

それっぽい形が狙えるシーンなら、1枚撮っておいて損はないと思います。 この写真では、画面の周辺部を暗く落として真ん中の夕日を強調してみました。「トンネル効果」とか言ったりしますね。

ベースがシンプルなぶん、こういった「工夫」「応用」が入るだけで手軽にインパクトの強い写真が撮れます!

一筋縄ではいきませんが、そのぶん写真表現の楽しさを実感しやすい構図でもあります。

【見せたいものをどこに置くかが肝心】

さて、あれこれ説明してまいりましたが……とりあえず写真の画面には「目が行きやすい箇所」があって、そこに何を置くかがキモなわけです。

例えるならば、本屋に行くと特設コーナーが設けてあったり平積みしてある本があったりします。

これらは、目立つところに置かれている、つまり「興味を持って欲しいもの」なわけです。

興味を持ってもらいたいものを、目につきやすいところに置く。

簡単に言ってしまえばそれだけです。
とはいえ、先ほどから説明してきた構図はあくまで「目安」でしかありません。

ご自分で実際に撮ってみて、「バランスがいい」と思える被写体の置き方を見つけ出すことが何よりも大事です。

なんなら、あえて不安定感を出すために被写体の配置をセオリー通りにしないというやり方もアリです。

料理のレシピに「塩:少々」と書いてあったとして、その具体的な量は自身の経験で「適切」なラインを見出すしかないように、自分なりの感覚で撮ってみましょう。
繰り返しますが、今回あえて紹介しなかった構図や名前を出さなかった構図はたくさんあります。

しかし、どういう構図を使うにしろ使わないにしろ、写真を構成するのに「重さ」「安定感」といった感覚はどうしても必要不可欠です。

ですので、今回はあえて情報を絞って要点だけご紹介した次第です。
さらに、構図は複数同時に使うことも可能です。

この写真、鳥の目は三分割構図の交点付近にありますが、頭のシルエット自体は日の丸構図になっています。

そう考えると、「画面をうまく使えていて安定感がある写真」のとある面を切り出して「○○構図」と名付けているのにすぎない、という言い方もできますね。

なので、あまり過剰に意識しないで撮ってみて、「いいな」と思った写真を分析してみたら「○○構図だった」というのも大事です。

自分の写真を分析して解像度が上がれば、次の撮影にも活かせますので。
所詮わたくしは趣味で写真を撮っているカメラ屋店員にすぎませんので、今回お話したことが写真の絶対的な「正解」だとは毛頭思いません。

しかし、結局のところ写真の良し悪しというものに「客観的なものさし」はないと言わざるを得ないのが実情です。

よって、写真を撮るコトを通じて、自分なりに「良い写真とは何か?」を見出すほかないのだとわたくしは思います。

わたくしの話が助けになったかは分かりませんが、ぜひいろいろなものを撮って、自分なりの「良い写真」を見つけ出してください。

それでは今回もありがとうございました。また次回のブログでお会いしましょう~!!